第11回・巨人の暴挙(2003年度版)

 今年も早いもので残すところ数日で年越しですが、年を越す前に第9回から続けてきた「2003年のプロ野球を振り返る」というシリーズにピリオドを打っておきたいと思います。
 なので、今回は自称球界の盟主・巨人(これまでは、例の黒いチームで表記)について書いて行こうと思います。

 結果から書くと、今年の巨人は惨敗といえる成績でした。なんとかヤクルトと同率での3位をキープしてAクラスを確保するのが精一杯で、宿敵・阪神に大きく負け越す屈辱を味わいました。
 怪我人の続出、相変わらずの守備軽視の一発依存野球、更にはシーズン中での原監督辞任という訳のわからない人事が原因で来シーズンの首脳陣が総入れ替えするなど悪い流れは留まる所を知りません。

 順を追って検証していくと、就任1年目ながら若大将・原監督の元で日本一になりチャンピオンチームとして臨んだ今シーズンは、ご存知の通りゴジラ松井がFAでのメジャー移籍によって大幅な戦力ダウンを余儀なくされながらも、無理やり穴を埋めるためにヤクルトからぺタジーニを獲得しました。
 その為に明らかに守備力が低下し、不運な事に怪我人も続出しシーズンを通して戦える戦力が決定的に足りなくなってしまいました。
 投手陣もう怪我人続出で2桁勝利が上原、木佐貫だけと壊滅的な状態に陥り、守護神・河原の不安定さも手伝い接戦をモノに出来ず黒星を積み重ねていきました。

 特に前述した阪神戦での惨敗が精神的にも堪えるものがあり、波に乗れない間に阪神が独走しマジック点灯まで許してしまいました。
 シーズンも後半に入るとナイター中継のテレビ欄などで、うざい位に「メイクドラマ再び!」と書かれていましたが、物事がそんなに上手く運ぶわけも無く早々と優勝の可能性は消滅。
 完全な消化試合化したナイターの視聴率は「いい旅、夢気分」にを下回るるなど悪夢の一桁台を爆走し、阪神の優勝が近づくに連れて加熱する「猛虎フィーバー」とは対照的な屈辱的なシーズン終盤を味わいました。

 そんな中で発生したのが、原監督の辞任問題でシーズン途中だというのに電撃退任が決定され、悪太郎こと堀内氏が監督に就任する事になりました。
 これは、明らかに目先の成績に囚われた巨人首脳の暴走であり、まだ若く才能ある原監督の芽を摘む行為に他なりません。
 そして、この影で世界犠打記録を更新し原監督からのコーチ就任を承諾しシーズン途中で現役引退していた川相の不信感を募らせ、中日ドラゴンズでの現役復帰へと発展していったのでした。
 
 これらの醜態を晒した巨人首脳陣(主に某有名オーナーと腰巾着の新球団代表ですが)は、シーズン終了後に懲りもせずに更なる問題を引き起こすことになります。
 まず、謎だらけの無償トレードでダイエー小久保を獲得し、更に近鉄からローズを巨額の年俸で獲得するなどのホームランバッターばかりを補強するという正気とは思えない行動に出ます。
 更に上原との代理人交渉を認めないとして大騒ぎするなどの器量の小さい対応をしたり、代理人交渉を求めた入来をトレードに出すと疑われたり、そこまで問題を起こしてまで目立ちたいのかと思うほどにシーズンオフの話題(主に負の)を独占しました。

 来シーズン以降への展望としては、相変わらずFAを中心とする金満補強でチームは一時的に強化されると思いますが、加入してくるのは他チームで一旗上げた中堅やベテランがほとんどで上原や高橋由といった選手が松井のようにメジャーへと流れて行った時に果たして巨人に如何程の若手選手が残っているか疑問です。
 下手をしたら有力な若手選手不足で優勝から長い間遠ざかる事態もあり得ますし、巨人こそ至上のチームというのは時代の流れと共に文字通り幻想へと変わろうとしているのを巨人首脳陣は理解するべきだと思います。

 そんな訳で、駆け足で書いてきましたが、次回は何か書きたいネタがあればすぐにでも書いてみようと思っております。
 どんな内容になるかは未定ですが、次回もお楽しみに~!


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